長距離を走っていると、20kmを過ぎたあたりから急に脚が重くなり、ペースがガクッと落ちる…。
いわゆる「30kmの壁」を経験したことがあるランナーは多いでしょう。
その原因のひとつが“エネルギー切れ”。走るための燃料が尽きてしまうのです。
そこで欠かせないのが「ランニングジェル」。
素早くエネルギーを補給でき、後半の失速を防いでくれる強い味方です。
この記事では、ランニングジェルの基本知識から、摂取のタイミング、選び方、そして初心者ランナーにおすすめの商品までを徹底解説。
「ジェルをどう使えば効果的なのか?」を理解すれば、レース後半でもしっかり走り切れるようになります。
✅この記事で分かる4つのこと
- なぜランニングジェルが必要なのか
→ エネルギー切れのメカニズムと、“30kmの壁”を超えるための栄養戦略がわかります。
- 正しい摂取タイミングと使い方
→ 走る前・中・後のどのタイミングで補給すべきか、実践的な目安を紹介します。
- 自分に合ったジェルの選び方
→ カフェイン入り・アミノ酸配合など、目的別にどのタイプを選ぶべきかが理解できます。
- 初心者ランナーにおすすめのジェル5選
→ 味・消化性・コスパを考慮した、実際に人気の高いアイテムを紹介します。
なぜランニングジェルが必要なのか?

長距離ランナーを悩ませる「30kmの壁」。これは体内のエネルギー源であるグリコーゲンが枯渇することで起こります。
筋肉や肝臓に蓄えられるグリコーゲンは限りがあり、フルマラソンでは20〜30km付近で底をつくといわれます。エネルギーが切れると体は脂肪を燃焼しようとしますが、脂肪はエネルギー化に時間がかかるため、急激にペースが落ち、脚が重く感じてしまうのです。
このエネルギー切れを防ぐために役立つのがランニングジェル。ブドウ糖やマルトデキストリンなど吸収の早い糖質が凝縮されており、摂取後10分ほどでエネルギーとして利用できます。持ち運びがしやすく、走りながら片手で補給でき、バナナなどの固形食より消化負担が少ないのも魅力です。
特に初心者ランナーは代謝が落ち、エネルギー回復が遅くなるため、ジェルの摂取タイミングが記録を左右します。ランニングジェルは“便利な補助食品”ではなく“戦略の一部”。練習から取り入れて慣らしておくことで、後半も粘れる走りを実現できます。
ランニングジェルの使い方とタイミング

ランニングジェルは、「いつ、どのくらい摂るか」で効果が大きく変わります。
一般的な目安として、フルマラソンではスタート前・10km・20km・30km・35km。スタート30分前に1本摂ることで血糖値を安定させ、序盤の消耗を抑えられます。その後は、エネルギーが切れる前に計画的に補給するのがポイントです。
ジェル1本あたりのエネルギー量は約100kcal。体格や走行時間によっても変わりますが、1時間ごとに1本が目安。摂取の際は必ず水と一緒に飲むことで吸収を促進し、胃への負担を軽減できます。水分を取らずにジェルだけを摂ると、消化に時間がかかり、胃もたれを起こすこともあります。
また、気温やペースによって必要量は変化します。暑い日は早めの補給、涼しい日は間隔を空けるなど、状況に応じた調整も大切です。
本番前に練習で試し、自分に合ったタイミングを見つけておくことで、レース後半の失速を防ぎ、最後まで安定した走りが可能になります。
ランニングジェルの選び方

ランニングジェルを選ぶときは、成分・味・消化のしやすさの3点がポイントです。
ブドウ糖やマルトデキストリンなどの即効性のある糖質が主原料のものが基本。
- カフェイン入りは集中力を高め、後半の粘りを助けます。利尿作用があるので序盤で飲むのはNG。
- アミノ酸配合タイプは筋肉の分解を防ぎ、疲労回復をサポートします。レースの目的や体質に合わせて選びましょう。
長時間のレース中は甘すぎるジェルが苦痛になることもあります。
- 初めての人は、さっぱり系の柑橘味やとろみの少ないタイプを試すのがおすすめ。
- 胃が弱い人は天然由来成分やはちみつベースのものを選ぶと安心です。
いきなり本番で使うのは避け、練習時に試しておくことが大切。
自分の体に合うか、どのタイミングで摂ると走りやすいかを確認することで、本番でのトラブルを防げます。
ランニングジェルは「補給食」ではなく、走りを支える戦略アイテム。信頼できる1本を見つけることが完走への近道です。
初心者がやりがちな失敗と対策

ランニングジェルは正しく使えば心強い味方ですが、以下のように使い方を間違えると逆効果になることもあります。
- 本番でいきなり使う
- 摂取のタイミングが遅い
- ジェルだけ摂取してしまう
- 複数ブランドを混ぜて飲む
よくある失敗のひとつが、練習で試さずに本番で初使用すること。ジェルの甘さやとろみ、胃への負担は人によって異なり、合わないものをレース中に摂ると胃痛や吐き気の原因になります。必ず練習ランで試して、体に合うタイプを見つけておきましょう。
また、摂取タイミングが遅すぎるのもNG。エネルギー切れを感じてからでは遅く、体が動かなくなってしまいます。目安として、1時間毎に摂取するのが理想です。
さらに、水なしで飲むのも避けたいポイント。濃いジェルは消化に時間がかかるため、必ず少量の水と一緒に摂りましょう。
そして意外に多いのが、複数ブランドを混ぜて使う失敗。成分の重複や刺激で胃が荒れることがあります。レースでは同じブランドで統一するのが安全です。フルマラソンランナーに向けてセット販売しているメーカーもありチェックしてみるものいいでしょう。
ジェルを「試す→慣れる→使いこなす」の流れを守ることで、後半までエネルギーを維持し、安定した走りを実現できます。
おすすめランニングジェル5選

数あるランニングジェルの中でも、初心者ランナーに人気なのが次の5つです。いずれも吸収スピードや味のバランスが良く、初心者からフルマラソン完走を目指す方まで幅広く使えます。
アミノバイタル アミノショット パーフェクトエネルギー
信頼のブランドといえばやはり「アミノバイタル」。アミノ酸2500mgを配合し、筋肉のエネルギー補給と回復をサポートします。ほどよい甘さで飲みやすく、マラソン大会の定番アイテム。特にジェルが初めての人やどれがいいか迷ってしまう人は、コスト面も考慮してアミノバイタルがおすすめです。
メダリスト エナジージェル
天然系成分で美味しいはちみつの優しい甘さで胃に優しい特徴の「メダリスト」。コンパクトで携帯しやすく、コスパの良さも魅力。夏場のロング走やハーフマラソンにおすすめ。
マグオン(Mag-on)ジェル
エネルギーと同時にマグネシウムを素早く摂れることができるジェルが「マグオン」。脚のけいれん対策として愛用するランナーが多く、味の種類も豊富で飽きにくいのが特徴。特に「グレープフルーツ味」は爽快感があり、胃にも優しい仕上がりでおすすめ。カフェイン入りタイプは集中力を高めるため、後半の粘りを引き出してくれます。(カラフルなパッケージの方がカフェイン入りですので注意)
アミノサウルス(AMINO SAURUS)
“走りながらリカバリー”をテーマにした高機能ジェル「アミノサウルス」。BCAAだけでなくアルギニンやシトルリンを配合し、血流を促進して疲労を軽減。すっきりとした飲み口で、後味が残りにくいのも嬉しいポイント。練習後のリカバリー食としても活用するだけでなく、疲労が抜けない普段の生活のなかでもおすすめしたいジェルです。(マンゴー味はカフェイン含有)
⑤ オレは摂食す(OREHA SESSYOKUSU)
SNSでも話題のユニークネーミングとは裏腹に、成分内容は本格派。糖質+アミノ酸+電解質を絶妙にブレンドし、足攣り防止や即効性のあるエネルギーチャージを実現。スッと胃に収まる味と食感でストレスなく補給できるのが特徴です。特に長距離練習やウルトラマラソンなど、持久系ランナーにおすすめの1本です。
まとめ:ランニングジェルは「後半の失速」を防ぐ最強の相棒

ランニングジェルは、単なる栄養補給ではなくレース戦略の鍵です。
特にフルマラソンでは、20〜30km地点でエネルギーが切れる「30kmの壁」をどう乗り越えるかが勝負。事前に計画的にジェルを摂ることで、後半でもペースを維持し、最後まで自分の力を出し切ることができます。
初心者ランナーは代謝や回復力が落ちてくるため、エネルギー管理が結果を大きく左右します。走る前・中・後の補給タイミングを把握し、自分の体に合うジェルを見つけておくことが重要です。練習で試しながら、「いつ摂ると走りが軽くなるか」を体で覚えていきましょう。
また、ジェルは種類によって味や成分が大きく異なります。甘さや粘度、カフェインの有無など、自分に合った1本を探す過程もまたランニングの楽しみのひとつ。しっかり準備すれば、後半に強い“粘れる走り”が必ず手に入ります。
完走、そして自己ベスト更新。その一歩は、小さなジェル1本から始まります。


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